劇場長編アニメーション『ひゃくえむ。』の完成披露試写会が8/27(水)に⽇経ホールで開催され、W主演の松坂桃李(トガシ役)、染⾕将太(⼩宮役)を筆頭に、内⼭昂輝 (財津役)、津⽥健次郎(海棠役)ら、本作を彩るメインキャストと岩井澤健治監督が登壇した。

映画上映前、会場には⼤勢の観客が来場、登壇者たちがステージに登壇すると⼤きな拍⼿で彼らを出迎えた。

そんな熱気あふれる会場の様⼦に笑顔を⾒せた松坂(トガシ役)は「僕が参加させていただいているから⾔うのもなんなんですが、この作品、めちゃくちゃ⾯⽩いです。ハードルを上げるのもなんだとは思うんですが、予想を遥かに上回る⾯⽩さがこの作品にはありますので。映画を⾒終わった後は、⾒終わった熱量のままで、SNSなどを使って感想を⾔っていただけるとうれしいです」と挨拶。

続く染⾕(⼩宮役)も「僕もひと⾜先に観させていただいたんですが、最⾼に⾯⽩いです!原作ももちろん⼤好きなんですが、このアニメには⾳と臨場感と⽣々しさと、本当にたくさんのものが⼊り交じっていて、僕⾃⾝も感動しました」とコメント。

さらに⼤勢の観客を前にした岩井澤監督も「企画から4年やってきて、やっとここにたどり着けたなと。本⽇はたくさんの⽅に観ていただくことができて、今ちょっと胸がいっぱいです。もうこのまま裏で⼀⼈で泣いていたいぐらい」と感無量の様⼦だった。
実際に完成した本編を鑑賞した松坂は「原作を読んだ時、漫画なのに登場⼈物の息遣いや⾛っている⾜⾳、⾵を切る空気感をすごく感じました。この⾛っている描写をアニメにしたらどうなるんだろうとすごく気になっていましたが、完成した作品を観た時、僕が原作を読んだ時、そのままの衝撃があって。これはすごい。よくぞアニメーションでこんなすごいものができあがったな。と思いました」と驚きを隠せない様⼦。⼀⽅の染⾕は「漫画で感じた“たった10秒間”という100メートル⾛の短さ、儚さ、そこに詰まっている⼈⽣。漫画を読んでいた時に感じたその感覚が、映画ならでは新たな形の10秒間になって。それが⽣々しくもあり、臨場感がある映像にもなっていました」と感激していた。

さらに内⼭(財津役)は「僕は声優として⾊々なスポーツアニメに関わらせていただいてきたんですけど、そのどれとも違う。観たことのない映像表現が⾊んなシーンに散りばめられていて。新しい、すごい、とてつもない作品が誕⽣したなと感動しました」とその⾰新性について⾔及すると、津⽥(海棠役)も「スポーツアニメの王道の良さもたっぷりありつつ、本当に個性的な独⾃の映像表現もあって、どっちの要素も⼊っている。王道のカタルシスとは違うカタルシスを⽣んでいて。皆さん、今⽇はお越しになってよかったんじゃないかと思いますよ」と笑顔で会場に呼びかけた。

そんな本作のオファーを受けた理由について質問された松坂は「原作を読んだらあまりにも⾯⽩すぎて。なんで今までこれを読んでこなかったのかと思いました。これを受けないなんて理由がない。こんな⾯⽩い作品に参加させてもらっていいんですか?という思いでした」とオファーの段階から本作に魅了されていたことを明かす。⼀⽅の染⾕は「企画と⼀緒に原作をいただいたんですが、本当に⾷らっちゃって。しかもこれを岩井澤監督がアニメ化して、トガシ役は(松坂)桃李くんがやると聞いて。『これは何て幸せなことだ』と。うれしくてプルプルしてました」と興奮した様⼦で振り返った。
松坂と染⾕は2011年の『アントキノイノチ』以来、14年ぶりの共演となる。

待望の共演に松坂は「めちゃくちゃうれしかったです。なんで14年も共演できなかったんだろうと。誰かが邪魔してたのかな?と思うくらい」と冗談めかしつつも、「お互い違うところで出ている作品を⾒ながら刺激をもらって。『いつかまた』と思っていたタイミングだったので。うれしさが倍増しました」と喜びのコメント。染⾕も「ずっと桃李くんの作品は拝⾒していて、いつかまたお会いしたいなと思っていたので、『ひゃくえむ。』という映画でまた⼀緒にやらせていただけたのは本当にうれしかったです」と感慨深い様⼦で続けた。
そしてその後の話題はアフレコに。

松坂は津⽥と⼀緒に収録を⾏ったとのことで、「津⽥さんが声を⼊れている姿を無料で間近で⾒られて、めちゃくちゃラッキーだなと。津⽥さんのしゃべっているのを後ろから聞きながら『うわ、こうやってやるんだ!すげえ!』と内⼼思いながら、ずっと⾒学モードみたいな感じで受け取っていました」と興奮した様⼦でコメント。津⽥も「掛け合いのシーンで、すごく⽣っぽい⾔葉をもらえて。そこに返していくみたいな感じだったので。本当に⼀緒に録れてよかったし、僕もすごくうれしかった」と笑顔で返した。
⼀⽅の染⾕は内⼭と⼀緒に収録を⾏った。

「財津はものすごく好きなキャラクター。はじまった瞬間に『あ、財津だ!』と思って。しかもそのシーンが僕がものすごく⾷らったシーンだったので。実際に⼀緒に隣でやらせていただいて、すごく刺激を受けました」とコメント。それに対し内⼭は「僕はアフレコは全然失敗していいものだと思っていて。探り探りでやるんですけど、染⾕さんは表現に迷いがない。最初から答えを出す感じでやってらして。『ちゃんとしてるな、やっぱり』と思いました」と返した。
内⼭演じる財津は独特なセリフまわしが印象的なキャラクターだが、「⽂字でセリフを読んでいる時は『ふむふむ』と読めるんですけど、実際に声で表現するとなると、どうすれば財津らしさが出るのか悩みました」と役作りの苦労を語る内⼭。岩井澤監督によると、原作者の⿂豊先⽣からも細かいところの修正案を出してくれたとのことで、「セリフの語尾とかも、読む⽂字としては成⽴するけど、しゃべり⾔葉として発すると逆に変かもしれませんと⾔っていただいて。逆に先⽣からセリフを変えていただいたりもしました」と明かすと、財津のセリフについても「⿂豊先⽣からは、丁寧な⾔葉に変えた⽅がいいですと⾔っていただいて。こちらとしては『それでいいんだ』と思ったんですけど、実際に内⼭さんにセリフを⾔ってもらうと、すごくはまってましたね」と感⼼した様⼦で付け加えた。
そしてイベント中盤では、登壇者たちの「胸が熱くなること」をテーマとしたフリップトークを実施。まず内⼭が「陸上のアニメなんですが……」と前置きしつつも、「ヨーロッパサッカー開幕」と回答しドッと沸いた会場内。

続く染⾕も「陸上なんですが……プール」と回答。

「クロールで泳ぐと、だんだん無になっていく感覚が気持ちいいんです。プールにいる先輩スイマーたちの脱⼒した泳ぎを⾒て、あの域に達したいなと思っています」とその理由を明かした。
さらに松坂も「陸上ではないんですが……⾦⿂すくい」という回答。

「こないだ夏祭りで⾦⿂すくいをやったら、めちゃくちゃ⾯⽩くて。シンプルだけど技術がいる。⾦⿂すくいってこんなに⾯⽩いんだと思った」と熱弁。ポイの扱い⽅について実技を交えながら「半分だけ⽔につけて様⼦を⾒ながら……」と付け加えた。
そんな中「ここで軌道修正します」と笑った津⽥は「純度の⾼さ」と回答。

「この映画もそうですが、純度が⾼い⼈や表現を観るとドキッとしてしまう。たとえば⼦どもが後先考えずに遊んでいる姿とか。それは岩井澤監督もそう。そういう純度の⾼さに胸を打たれます」とかみ締めるようにコメント。
そして最後に岩井澤監督が「今」と回答。

「このメンツでここに⽴てることは⼆度とないかもしれない。本当に今、胸が熱いです」と語る監督の⾔葉に、松坂たちも「また呼んでくださいよ!」と再タッグを熱望するひと幕も。
そんな⼤盛り上がりのイベントもいよいよ終盤。最後のメッセージを求められた染⾕は「スポーツをやる⽅でも、もちろんスポーツをやられない⽅でも、本当に誰が観ても、絶対に胸に響いてくる⾳と描写描写が待っています。ぜひ劇場のスクリーンで、そして劇場のスピーカーで、この映画を体感して。何かを持って帰っていただけたら」と語ると、松坂も「トガシのセリフにもあるんですが、『100mを誰よりも速く⾛れば、全部解決する』と。本当にシンプルだけれどディープなこの世界に⼈⽣をかけた登場⼈物たちの感情の動きだったり、美しさみたいなものが、本当に胸を打つと思うので。臨場感とともにそれを受け取っていただけたら幸いです。どうか最後まで楽しんでいってください」と会場に呼びかけ、温かな拍⼿に包まれながらイベントは幕を閉じた。
2025年9⽉19⽇(⾦)全国公開